
バーデン・バーデンにやってきた最大の目的は、祝祭歌劇場でリヒャルト・ワーグナーのオペラ「ワルキューレ(Die Walküre)」のコンサートを見ること。
ワーグナーの代表作「ニーベルングの指環」全四作のうちの一作ですが、ドイツでこの指環を見ようとすると、四作分のチケットで売られている場合が多く、どれか一作だけ観たいと思ってもなかなか難しいようです。
日本ではあっても1年に1作で、4年かけて指環が完成するというかんじなので、まとめて観られるとなるとそれはそれで大変うらやましいハナシなのですが。。
豪華ゲストのバーデン・バーデン祝祭歌劇場
今回の旅行では日程的にも指環をまとめて観るのは難しく、せめて一番好きなワルキューレだけでも観たいと思っていたところ、バーデン・バーデンでの上演があると知りすぐにバーデン・バーデンを旅程に組み込みました。
しかも、主役のジークムントを歌うのはワーグナー歌手として名高いヨナス・カウフマン。世界の劇場や音楽祭で人気の彼が歌うジークムントが観られるとなればこれは行くしかありません。
バーデン・バーデンの祝祭歌劇場はそれほど有名ではありませんが、保養地という土地柄のせいか、有名なゲストを招いての公演が多く、日程があえば本当に素敵な演目に出会えます。
チケットもミュンヘンやベルリンの国立歌劇場に比べれば競争は穏やかで取りやすいと思います。
無念のカウフマン降板
ということでとっても楽しみにしていたワルキューレですが、、なんと公演の2日前にカウフマンの降板という連絡がありました。
音楽祭が続く時期だし、そういうこともありそうだなあと思ってはいたものの、やはりかなりのショックを受けましたが、、代役として立ったのは今年のバイロイト音楽祭で「さまよえるオランダ人」のエリック役を務めるアンドレアス・シャーガー(Andreas Schager)。
こちらも実力のある歌手ということで、気を取り直して観に行きました。
現代的な劇場とセレブな観客
バーデン・バーデン祝祭歌劇場は建物も新しく、中にはいるととてもモダンな感じの劇場です。観客は保養地に来ている富裕層の方が多いようで、服装もかなりドレスアップした方が多く、洗練された雰囲気でした。
序曲から素晴らしいワルキューレ
肝心の演奏ですが、、これは本当に素晴らしかったです。
私個人がワルキューレの曲を好きだというのもあるのですが、音の一粒一粒が際立つような序曲のきらめきから、アンドレアス・シャーガーの力強いジークムント、ジークリンデの美しい声、ブリュンヒルデの命を感じる力強い叫び、各キャストが力を出しきっているのが伝わる、素晴らしいコンサートでした。
観客ももちろん大満足で、1幕からスタンディング・オベーションが出るほどの評価。ヨナス・カウフマンを楽しみにチケットを買った観客が、代役でここまで熱狂するとは本当にすごいことです。
私自身もあまり期待せずに行ったものの、大満足のワルキューレとなりました。
- Conductor:VALERY GERGIEV
- Andreas Schager(Siegmund)
- Eva-Maria Westbroek (Sieglinde)
- Evelyn Herlitzius (Brünnhilde)
- Ekaterina Gubanova (Fricka)
- René Pape (Wotan)
- Mikhail Petrenko (Hunding)