[秋の東京2016]ゴッホとゴーギャン展@東京都美術館

都会らしい都会がそんなに好きでもないのに、毎年なにかしら秋には東京に行っているような気がします。案の定今年も仕事で行くことになったので、空いた時間に上野の東京都美術館でゴッホとゴーギャン展を見に行ってきました。

共同生活を送った二人の画家

ゴッホとゴーギャンは同時期の画家で、短い期間ながら共同生活をしていたこともあるふたり。今回の展示では、彼らの人生をおいながら、画風の変遷や、二人が共同生活で得たものを紹介していました。
ゴッホが弟のテオに宛てた手紙の一節も引用されたりしていて、テオが主人公の漫画「さよならソルシエ」が好きだったので、テオの名前が出てくるとちょっと嬉しくなります。

さよならソルシエ

画家と画商…ふたりの“ゴッホ”の伝記浪漫
19世紀末、パリ。のちの天才画家ゴッホを兄に持つ、天才画商テオドルスの、知られざる奇跡の軌跡。生前、1枚しか売れなかったゴッホが、なぜ現代では炎の画家として世界的に有名になったのか…。その陰には実の弟・テオの奇抜な策略と野望があった! 兄弟の絆、確執、そして宿命の伝記!

明るい画家・ゴッホ

ゴッホといえば明るくて大胆な線を使った絵が有名ですが、最初はオランダ画家っぽい暗い絵を書いていて、パリでテオとの生活をおくるようになってから明るいタッチに変わっていったことが紹介されていました。
会場ではわかりやすく3枚の自画像を展示してあったのですが、あまりにそれぞれのタッチが違うので驚きました。でも3枚とも上手い。。

色々なゴッホの絵を見てみて、ゴッホの絵は色彩的に明るいのではなくて、元々暗い感情があまり入っていないから明るく感じるのかもしれないと思いました。
ゴッホ自身はわりとネガティブに心を病んでいたんだと思うのですが、そんな中でも素敵だなと思う風景や人に触れて、それをその素敵なまま絵に残したいと思ったのかなあ、と。

野生の画家・ゴーギャン

ゴーギャンも、元々田舎の景色を好んで描いていたところから、どんどん空想で描くことをきわめてゆき、ついには「野生の人」に憧れてタヒチへ移住するという流れをその時々の作品を使ってうまく紹介されていました。

空想で描くという言葉だけとると、なんだか楽しげな絵なのかなと思うのですが、実際のゴーギャンの絵はそんなことはなく、逆にわりと生活の苦しい人たちが出てきます。
ゴーギャンの絵には、生きることはそれだけで辛く苦しいことだという前提があるように感じました。自然と暮らす厳しさを感じているというか。
だからこそ、辛い生活でも明るく力強く生きるタヒチの人がより魅力的に描けているのではないかと思います。

共同生活の傑作が揃う

今回はゴッホとゴーギャンの共同生活に焦点が当てられているのですが、実際に二人はその共同生活のなかで自身の傑作を作り上げました。
どちらもアルルの田園を描いたもので、今回の展示でもそれぞれ紹介されています。
ゴッホが描いた田園は空がきれいでのどかな営みのある田舎。
ゴーギャンはぶどうを摘む女たちを死神のように描き、中心に魔が取り付いたような物乞いを描きました。
同じものを見て暮らしていてもこんなに表現が違うのかと、驚かずに入られません。
そして、こんなに違えばそりゃ制作で意見が別れて喧嘩もするだろうと納得しました。。

小野ほりでいさんのマンガがますます好きになる

そうそう、ゴッホとゴーギャンの共同生活といえば小野ほりでい先生が描いていたWebマンガ「ゴッホとゴーギャンのドキドキライフ」です。
初めて見たときはすごい解釈だ…!と面白く読んだのですが、今回「ゴッホとゴーギャン展」を見た後に再度読み返してみると、大体合ってるうえに展示の余韻で余計に染み入るという結果になりました。スーラがいい。
展示にいかれた方はこちらもぜひ。

ゴッホとゴーギャンのドキドキライフ

音声ガイドもおすすめ!

ちなみに、今回の「ゴッホとゴーギャン展」は音声ガイドがあるのですが、ゴッホとゴーギャンをそれぞれプロの声優さんが担当して手紙を読むという、すごい仕様になっていました。
最近の展示会はみんなこうなんでしょうか?こんなに気合入ってるものなの?
サイトでこの音声ガイドの存在を知ったので、ばっちり借りて見てきましたが、音声ガイドがあるのとないのとでは楽しみが5倍くらい違う感じです。
レンタル料は520円なので、入場料と合わせると2000円超えますが、映画に行ったつもりで楽しんでみてください。

ゴッホとゴーギャンが南仏アルルで共同生活を始めたのは128年前の10月23日だそうで、128年前にタイムスリップできたら一緒に暮らしはじめた頃のゴッホとゴーギャンが見られるわけですね。
ちょっと病んでるゴッホと女好きのゴーギャン、すごい生活してそう。


ゴッホとゴーギャン展

東京都美術館 2016年10月8日〜12月18日
http://www.g-g2016.com/

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