
スパイダーマン ファーフロムホームを見た後に、やっぱりジェイク・ギレンホールの演技がもうちょっと見たいなとおもい、アマゾンプライムビデオで「ノクターナル・アニマルズ」を見ました。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B079V2K4J2/ref=cm_sw_em_r_pv_wb_Ym63qgwtj6r56
エイミー・アダムスとジェイク・ギレンホールが主演、そしてトム・フォードが監督という、豪華な一本。
個人的にはマイケル・シーンやアーロン・テイラー ジョンソンなどが出演していたのも嬉しかったです。
ストーリーが2重に進む作中作構造
ストーリーは至ってシンプル。
主人公のスーザン・モロー(エイミー・アダムス)は夫の経済力で豊かな暮らしを送り、ギャラリーを運営する女性。暮らしは豊かでも夫とはあまりうまくいかず、空虚な気持ちで暮らしている。
ある日元夫のエドワードから、彼が書いた小説「ノクターナル・アニマルズ」が送られてくる。
小説のなかでは、ある男性トニー(ジェイク・ギレンホール)が妻・娘とロングドライブをしている途中で不良たちにからまれ、妻・娘を拉致されて殺されてしまう。トニーは失意の中、刑事とともにその犯人を追う。
それを読み進めるうちに、スーザンの心はシンクロし、彼女も追い詰められていく、、
現実世界=エドワード(ジェイク・ギレンホール)
作中世界=トニー(ジェイク・ギレンホール)
という感じで、ジェイク・ギレンホールが二役を演じて進行していきます。
結構シンプルなんですが、エイミー・アダムスとジェイク・ギレンホールの演技、あと画の作りが綺麗で見飽きません。
美しいトム・フォードの世界
監督はファッションでも大成功しているトム・フォードなので、まずスーザンや上流階級の方が着ている服がどれも素敵です。
他にも現実世界と作中世界での色の使い方、特に現実世界で使われるくすんだ赤色が印象的でした。
綺麗なんだけど芝居感のある赤というか、現実がどこか空虚になっている感じがよくでていたと思います。逆に作中世界での赤はトニーが殴られたときの血の色だったりして、逆にリアルです。
観客に結末を委ねる物語
最後を書くとネタバレになってしまいますが、ちょっと観客を置き去りにするような、見る人に背景を委ねる終わりで、私は結構好きでした。
見る人によって、スーザンの視点で見たり、エドワードの視点で見たり、色々シーンの意味を考えるのも楽しいと思います。
これはスーザンのための物語
私は見終わった後に、これは最初から最後までスーザンの物語だなと思いました。エドワードという人間すら存在しないのではないかと思ったほどです。
スーザンはブルジョワな実家に反抗しロマンチストのエドワードと結婚しますが、エドワードとの暮らしに将来性が見いだせなくなって、今の夫に走ります。
ただ、今度は暮らし的には満たされても、愛を失っているのです。
スーザンは自分の欲望を理解せず、どちらかというと受け身で、自分で考えているようで、実際そうではない人物のように見えます。
本当は自分の欲望(衝動)があるのに、その場の状況で限界を作って収まってしまうような。
作中のトニーや妻・娘・刑事・そして悪役の不良たちは全部スーザンの一部を表してるのかなと感じました。
自分で目的地もわからないのに何故か車を走らせ、その後も誰かの言うがままに動くトニー、無責任な言葉を吐き無残な目に合ってしまう娘、娘を守りきれず自分もレイプされて殺される妻、正義にどこか疲れているような刑事、そして邪悪でプライドの高い不良のレイ。
すべてがスーザンのある一面や願望を表していて、だからこと彼女は単なる文章で読み進める物語にこんなに感情移入してしまうのかな、、と。
最後にスーザンはエドワードとまた会うためにでかけていきますが、彼女は会えないことを最初からわかっていたような気がします。
ちょっとした感傷でエドワードを求めることはあっても、エドワードはもう彼女の中では過去であり、いない人物なんじゃないかなと。
彼女がテーブルを立つ時に、そういった過去の思い出から脱却して、彼女は徐々に自分を取り戻すのではないかと思いました。
見た人それぞれに解釈があっていい映画だと思いますが、監督や出演者のインタビューを翻訳してくださっている記事があって、こちらを読んでなるほどとも思いました。
Pepper’s Attic
けして後味が良いとは言えませんが、余韻のある映画でした。
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