
台湾を舞台にした豊川悦司さんと妻夫木聡さんの映画、「Paradise Next(パラダイス・ネクスト)」を観てきました。
監督は映画音楽の分野でも有名な半野喜弘さん、また坂本龍一さんが音楽を担当するという贅沢な一本。
世間から身を隠すように台北で生きる男・島(シマ/豊川悦司)の前に、突然お調子者で馴れ馴れしい男・牧野(マキノ/妻夫木聡)が現れる。牧野は初めて会う島の名前を知っており、島が台湾にやって来るきっかけになった“ある事件”のことを知っていると言う。
映画『パラダイス・ネクスト』公式サイト
その牧野が何者かに命を狙われていることを知った島は、追手から逃れるため牧野を連れて台北から花蓮へ向かう。花蓮に辿り着いた二人の前に、シャオエン(ニッキー・シエ)という女性が現れる。この運命の出会いによって、牧野と島の閉ざされた過去が明らかになり、二人の逃避行は楽園を探す旅に変わっていく…
http://hark3.com/paradisenext/
ストーリー自体は寓話的なロードムービーで、岩井俊二監督のpicnicなどを思い出させるような部分もありました。
picnicは人物設定自体が奇抜だったので成り立つものの、こちらは人物設定は至って現実的なので国内でやってしまうとすごく地味な映画になって仕舞ったかもしれません。
今回は台湾の南国的/牧歌的な雰囲気・文化にはぴったりハマっていました。
日本人が見るからこその異国感というボーナスもあってのことでしょうが、演出も色彩もとても良かったです。
妻夫木さんの表情を追う2時間
豊川悦司さんと妻夫木聡さんの映画で、私はどちらかというと豊川悦司さんの演技を楽しみに見に行ったのですが、作品的にはひたすら妻夫木聡さんを愛でるというか、彼の表情の演技が重要視されている感じでした。
妻夫木さんはイケメン&好青年な役も多いですが、私は中島哲也監督の「渇き。」等でみせてくれたような、深いけど軽い悪人的な笑顔の表情などはとても好きなので、そういった部分が見られたのはとても良かったです。
監督も妻夫木さんのそういう演技が好きなのかな〜と思わず勘ぐってしまいました(笑)
鏡の前で腹に一物を抱えて笑うような表情を見せるシーンは英国俳優のマイケル・シーンさんの演技にも通じるものがあるような気がしました。
お顔は全く違うのですが、笑顔の質が同じというか、ふたりともこういう演技が上手いなあと。
一方で豊川さんは外見も含めて完全に異国で世捨て人をするおじさんになってしまっていました。
それはそういうキャラクターなのでしかたがないのですが、鼻毛が出てそうなほどの小汚いおっさん感をみるにつけ、本当はもっとかっこいいのに・・・・!と思わずにはいられませんでした(笑)
何が空想で何が現実なのか
ストーリーがはっきりとしている映画ではないので、「これは誰なんだろう?」とか「あの人はなんでいきなり殺されてるの?」などなど、見ていると結構疑問が出てきます。
特にシャオエンは重要な人物なのに存在感がなく、二人の罪の象徴として描かれる、空想の人物なのかなと思ったりしました。
本当はシャオエンという女性は存在せず、全ては罪の意識にさいなまれる島と牧野が生み出した妄想の話なのではないか、という解釈です。
観る人によって色々な解釈ができる映画で、私は好きでした。
台湾版のタイトルは「亡命之途」
余談ですが、台湾版のポスターはこんな感じだそうで。
見た瞬間に「えええーーー」と叫んでしまいました。
お国が変わればビジュアルも変わるものですね。。
こちらだともろヤクザものというかサスペンスというか、左下の女の子は殺されるんだろうなあ、、という感じがめちゃくちゃでてます。

ビジュアルって大事だなと、なんだか改めて感じさせられた映画でした。