• [DE2016]椿姫(La traviata)2016.07.15@Bayerische Staatsoper

    「ミュンヘンオペラ・フェスティバル」3回目はヴェルディの「椿姫(La traviata)」を2Rangeの左側立見席で鑑賞。

    パスポート提示での入場

    今回初めて、入口でチケットだけでなくパスポートの提示も求められた。
    たまたまだったのか、前日のフランスでのテロ事件に関係があるのか。ただ単に名前を確認して終わり。
    またパスポートを求められたのも私だけだった。(多分E−チケットを印刷して持ってきたからかな?)

    立見席の場所もいろいろ

    「ルクレツィア・ボルジア」の時は右側席で全然ルクレツィアを見ることができず、今回はどうかなと思っていたところ、今回はヴィオレッタもアルフレードも主に左側で歌っていたのでまたもや全然見えない位置で残念。

    場所を逆にしたら良かった、、ということでバイエルン国立歌劇場ではルクレツィアは左側席、椿姫は右側席がおすすめ。(どちらも2016年の演出の場合だけど)

    そして今回はガレリアではなくて2Rangeの立見席だったので、多少余裕があるし、立見の席の後ろに座席(椅子)があるということもなかった。

    1列目の座席の後ろは立見、その後も少し段があっての立見。
    私は真ん中の立見列だったので、足がつかれたら後の段のところに時々腰掛けたりして、わりと気楽に観られた。

    テンポの良い華やかなオペラ

    オペラのなかでも聴く機会の多い椿姫だけど、私は通しで聴くのは今回が2回目。
    久しぶりに聴いて感じるのは、劇自体のテンポが凄くいいということ。

    現代劇に近いテンポで話が進むので、通しで見やすいオペラだと思う。
    他のオペラは結構主人公の心情を長々と歌っちゃうので(ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」に至っては2幕は大体お互いの名前を呼び合ってるだけの印象だし)、そこで物語が間延びしてしまうのだけど、椿姫は心情と状況説明がうまく一つの歌になっているので、人物の気持ちもわかるし物語もサクサク進むという気持ちよさがある。

    今月はモーツァルトやワーグナーを聞く機会が多かったので、余計にそう感じた。
    多分ヴェルディが指輪を作曲していたらワーグナーのように計4夜ではなく、2夜で終わってるんじゃないかな。

    あとはヴェルディの軽やかな音楽も聞きやすさのポイント。
    序曲から物悲しいのに、優雅で華やか。

    ドアを使った面白い演出

    今回の演出も面白く、1幕はドアをうまく使って場面転換だけでなく、ヴィオレッタの心情も表していた。
    床には常に落ち葉が散らばっていて、最初から「終わり」を感じさせる。

    二幕は逆に広く舞台を使っていて、ヴィオレッタとアルフレードの自由な、でもどこかがらんとした生活を感じさせていた。
    「ルクレツィア・ボルジア」もそうだけど、バイエルン国立歌劇場の演出は、道具立てをシンプルにおさえることで、人物の性質や様子をより浮かび上がらせようとしているように見える。

    耳の肥えたミュンヘンの聴衆

    今回の椿姫のキャストもなかなか良かったと思うものの、この前に聴いたのがエディタ・グルベローヴァの「ルクレツィア・・ボルジア」だったのでどうしても比べてしまい、ルクレツィアの時のようなずっと拍手をしたい気持ちにはならなかった。

    ルクレツィアはカーテンコールが10回ほども起こる異常な事態だったので、それと比べるのが悪いのだけど。

    もちろん今回の椿姫も上手で、カーテンコールは3回ほど拍手を送った。
    3回目でもういいかなと席を立つ人も多く、私もそれで会場を後に。
    ミュンヘンの観客は良い物には非常に熱狂的だけど、そのかわりたっぷり耳も肥えているようだ。

    • Violetta Valéry:Ermonela Jaho
    • Alfredo Germont:Pavol Breslik
    • Giorgio Germont:Simon Keenlyside
    , ,
  • [DE2016]Lucrezia Borgia 2016.07.13@Bayerische Staatsoper

    「ミュンヘン・オペラ・フェスティバル」の二回目はドニゼッティのオペラ「Lucrezia Borgia(ルクレツィア・ボルジア)」を立見席で。

    あまり有名なオペラではないのに、チケットを取る時になぜかこの演目は特にチケットがよく売れていて、なぜだろう…?と思いながら一番安い最上階、ガレリア右側の立見席を購入。

    エディタ・グルベローヴァのルクレツィア

    当日も特に期待せずギリギリで会場に行くと、立見も埋まる超満員。
    なんでこんなに人が多いんだろうと思いながら一幕目を聞いていたところ、、ルクレツィア・ボルジア役をやっていたのが有名なソプラノ歌手エディタ・グルベローヴァだった。
    途中でわかってびっくりしたけど、みんな彼女を観に来ていたのね、と納得。

    ガレリアの右側立見席は角度の関係で舞台の右半分が見えない。
    肝心のルクレツィアは大体右側で歌う構成だったので、ほとんど彼女の姿は見えなかったものの、声の美しさは圧倒的だった。

    もう少々お年になっていると思っていたのだけど、衰えない技術は本当に感動。
    この時の立見席は11ユーロ。
    映画を見るくらいの感覚でグルベローヴァの生の歌声を聞けるとは、なんとも贅沢だと思う。

    なぜか座席の前にある立見席

    で、ちょっと不思議なのがこのガレリアの立見席。
    ガレリアには3列用意されていて、1列目は座席(椅子)、その後ろに立見、そしてその後ろにまた座席(椅子)があるという、すごく不思議な配列になっている。

    3列目の椅子の人は完全に舞台が見えないと思うんだけど、、。
    実際にはオペラが始まると、3列目の人も立って、立見の隙間に入れてもらっていた。やっぱり舞台を観たいしね。
    特にグルベローヴァが見える場所に来ると、立見の人が後ろの椅子の人に「来たよ!」と行って間に入れてあげたりしていた。また逆に立見の人の足がつかれたら後の椅子に座らせてもらったりと、安席ならではの和気あいあいとしたいい雰囲気があった。

    文字を使ったシンプルな演出

    今回の演出はもう何年も前からこのバイエルン国立歌劇場で行われているもののようだけど、現代的で大変シンプル。

    本当は華やかなパーティが行われているという設定だけど、実際の装飾は出演者の後ろに「Lucrezia Borgia」という文字が実際に掲げられているだけ。

    シンプルなこの舞台演出が、悲劇の寒々しさや、各人物の性質を浮かび上がらせる効果を持っているよう。
    この演出はエディタ・グルベローヴァの主演でDVDにもなっているので、興味のある方はぜひ。

     10回を越えるカーテンコール

    ミュンヘンではお馴染みの演出、鉄板の出演者ということで、幕が終わった後の観客の熱狂は凄まじかった。
    それほどエディタ・グルベローヴァ演じるルクレツィアの最後の絶唱はもの凄かった。

    実は私、今まであまりグルベローヴァは好きではなかった。
    声の高さや技術はすごいけど、どうしてもそのぶん声が硬く聞こえてしまうし、悲しみや尖った怒り、ヒステリックな表現には合うけれど、例えば魔笛の「夜の女王のアリア」などは、個人的にはもうちょっと憎悪や野心などの厚みがほしいと思ってしまう。

    ただ、今回のルクレツィアとしてのグルベローヴァは、これ以上ないというほど役にハマっていた。
    子を捨てた母の悲しみ、家名を侮辱されて怒る自尊心の高さ、そして自分の毒で息子を死なせてしまった絶望など、それぞれの感情がグルベローヴァの声にのっているのが分かるし、最後の絶唱などは一部しゃがれた低音を出したり、絹のような高音を絞り出したりと、感情と技術のバランスが素晴らしく、本当に涙がでるほどの苦しさが伝わってきた。

    またルクレツィアの夫ドン・アルフォンソを演じたAlex Espositoも素晴らしいバリトンで、深い歌声とユニークな役作りが良かった。

    ミュンヘンの聴衆もかなり満足したようで、拍手とブラボーの声が全く鳴り止まず、おそらくキャストは10回ほどカーテンコールに登場していた。
    写真は8回目くらいのカーテンコール。
    カーテンコールに出てくる度に観客も興奮してもっと拍手が続いてしまうので最後にはキャストも困ってしまっていたのだけど、、しかし観客にこれだけ熱狂的に愛されれば歌手のレベルもあがるだろうなと、バイエルンオペラの上手さの一端がわかったような気がした。

    • Donna Lucrezia Borgia:Edita Gruberova
    • Don Alfonso:Alex Esposito
    • Gennaro:Pavol Breslik

    , ,
  • [DE2016]ヴァルトラウト・マイヤーコンサート 2016.7.12@Bayerische Staatsoper

    7月は「ミュンヘン・オペラ・フェスティバル」ということで、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場では豪華キャストのコンサートやオペラが日毎開催される。
    このフェスティバルのチケットをいくつかとっていたので、バーデン・バーデンからミュンヘンにやって来た。

    ディアナ・ダムラウの降板

    まず1日目はディアナ・ダムラウのコンサート、の予定が、急遽体調不良で降板することが3日ほど前に明らかに。

    音楽祭の立て込む時期なのでこのようなキャンセルもある程度覚悟はしていたものの、実はミュンヘンに来た一番の目的は今回の彼女のコンサートだったので非常に残念だった。

    こういった降板のお知らせなどは公演の数日前にしれっとメールで送られてくるので油断大敵。
    バーデンバーデンでも結局ヨナス・カウフマンを聴くことができなかったし、、(でも全体的に非常に良かったので満足)。

    ヴァルトラウト・マイヤーの素晴らしい歌声

    しばらく落ち込んでいたものの、このコンサートの代役で有名歌手のヴァルトラウト・マイアーが出演することになり、気を取り直して聴きに行った。

    ヴァルトラウト・マイヤーといえばグラミー賞を受賞したこともある非常に有名なメゾソプラノ歌手。
    この方を急遽キャスティングできるところは流石バイエルン国立歌劇場といったところ。

    もう少しお歳を召された歌手ながら、素敵な声で2時間の熱演。
    メゾソプラノからソプラノまで、大変幅広い声をお持ちで、さらに感情表現も豊かでとても聞きやすい。
    聴衆も大満足だったようで拍手が鳴り止まず、アンコールも4回で、特にシューベルトの魔王はさらに拍手喝采だった。

    私はこの魔王にももちろん感激しましたが、個人的にはグスタフ・マーラーの「Um MitterNacht(真夜中に)」という曲が良かった。

    ちなみこんな曲。

    マイヤーさんにも十分満足だったけど、ディアナ・ダムラウもまた機会があればぜひ聴いてみたい。

    , ,