• 人に会うこと

    人に会うのは結構苦手な方だと思っていたし、はるか昔にスーザン・ケインの『内向的な人が秘めるパワー』を聴いてからは、やはり私は内向的な人間なんだ。引きこもっていていいんだと謎の自信を持っていたのだけど。
    ふと人に出会うと、やはりこの力には叶わないと思う。

    https://www.ted.com/talks/susan_cain_the_power_of_introverts

    新しいところに行こう、なにかを動かそう、と思わされるパワー。この先の『なにか』のスイッチが押された瞬間。
    今日はなぜかそういうことに行き当たって。
    得難いものをいただいたという気持ちになる。

  • 火星の人

    機内で『火星の人(the Martian)』を読んでから、ちょうど機内のエンタテインメントにあった映画版を鑑賞。

    小説は期待に違わずめちゃくちゃ面白かった。先に『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読んでいたからというのもあるけど、アンディ・ウィアーのこの手の小説(宇宙で脳天気な天才が孤軍奮闘する系)はあと10冊くらい読みたい。
    火星の人はネット小説で公開されていたということもあり、日本語訳でもそんな感じでとてもカジュアルな読ませ方をさせてくれる。

    主人公がやっていることは非常に高度なのに、すべての理屈がわからなくても面白く読ませてくれるのは、この柔らかさと主人公の能天気さのおかげ。
    世界にただ一人で生きて、しかも刻々と死に向かっている状態で、こんなに葛藤しない(葛藤をみせない)主人公は本当に珍しい。サイコパスといってもいいんじゃないかというほど情緒に欠けていて、通常だとそれは「人間の内面が書けていない」とか「浅い」とかいわれそうななか、プロットの面白さで気にせず読ませていくのは本当にお見事。

    映画は、その主人公のとぼけたところがマット・デイモンによくあっていてとても良かった。もう少し若く、タロン・エガートンも合うような気がする。日本語の声優さんはマット・デイモンのイメージよりやわらかい声で少し違和感があったものの、主人公のマークにはとてもあっている演技だった。

    小説を読んでからすぐ映画を見たので、これがMAVか〜(想像よりだいぶ小さかった)とか、ハブはこうなってるんだな〜(想像よりもだいぶ立派だった)とか、想像と正解のギャップが楽しい。

    ストーリーはだいぶ省いてあったので、小説を読んでからだと試行錯誤や盛り上がりにかける印象で、映画としての山谷はこれで十分なのか、小説を読んでいるから気になるだけで十分成立しているのか、ちょっと判断がつかない。
    でも映画の画の美しさはとても素晴らしかった。

  • 私の性自認は攻撃ヘリ 雑感

    話題になっていたイザベル・フォールの短編SF。
    ジェンダーが構成物になった時代の話。戦闘とジェンダーがこんなにも混合できるのかと、そのアイデアと感性に感じ入った。

    元々「私の性自認は攻撃ヘリ」というネットミームをもとにしたカウンターパンチ的な作品ということなので、大体の方向性はそこから決まったのだろうけど、それにしても素敵な感性だと思う。
    攻撃ヘリと自分が物理的にもつながっていて、途中まで性自認という認識だけの話なのか、物理的な話なのか少し惑わせるようなところも良かった。

    しかしそれでいうと最終兵器彼女にもちょっと掠るところがあるかもと思ったり。ちせは身体は兵器なんだけど性自認は女性なんだよね。最初は。だから恋をしてる。でも身体に精神が引きずられるのも事実で。
    こちらの作品でもそういったあたりの観察&考察もされていて興味深かった。

    ただ、これで割と賛否両論だったというのもわかる。

    ジェンダーを脱したいのは自分の性自認に疑問がある人だけではなくて、割と誰にでもある欲求だと思うので、そういう点では多くの人に共感されるものかなと思う(少なくとも私はそう)けど、一方で真面目に性自認に悩んで苦労している人にとってはそんなに気軽なもんじゃない、という反発もあるんだろうなあという気がする。

    差別を軽やかに飛び越えた先の世界が皆の理想ではあるけども、そこへの行き方は人によって厳しい眼差しがあったりしてなかなか難しい。
    私はマドンナの「自分はバッドなフェミニストである」というスピーチが好きだけど、あれも正統な(?)フェミニストからは避難されるということもあるのだし。

    でもまあこれを深く語るには自分の不勉強が大きくて無理。

    無責任に軽く考えてしまえば、ちょうどこの後に宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」を読んだので、これでいうとオタ活もある種、オタクという性自認での活動よな、と思うなどしました。

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